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育成就労の「本人の意向による転籍」。要件と、まだ決まっていないこと

育成就労制度では、やむを得ない事情がある場合に加えて、一定の要件のもとで、本人の意向による転籍が認められます。入管庁のQ&Aで示されている要件と、まだ決まっていないことを、分けて整理します。

制度の確認日 (出典は記事の最後にあります)

この記事の要点

  • 本人の意向による転籍は、2027年4月1日に始まる育成就労制度で、新たに認められます。
  • 転籍できるのは、同一の業務区分の中だけです。
  • 転籍制限期間は、分野ごとに1年以上2年以下の範囲で定められます。当分の間の扱いです。
  • 手続の具体的な内容は、育成就労制度運用要領に示されました。初期費用の補填に関する告示は、まだ示されていません(2026年10月15日時点)。

転籍は2種類

種類内容
やむを得ない事情がある場合暴力やハラスメントなどの人権侵害を受けた場合など。技能実習制度から引き続き認められます。
本人の意向による場合育成就労制度で、新たに認められます。一定の要件を満たすことが必要です。

どちらの場合も、転籍先は、同一の業務区分の中に限られます。

本人の意向による転籍の要件

入管庁のQ&A(Q47)は、次の要件を挙げています。

  • ご本人が、分野ごとに分野別運用方針で定める、一定の水準の技能と日本語能力を修得していること
  • いまの育成就労実施者のもとで、転籍制限期間を超えて、育成就労を行っていること
  • 転籍にあたって、民間の職業紹介事業者による職業紹介などを受けていないこと
  • 転籍先が、優良な育成就労実施者であること
  • 転籍先で、本人の意向による転籍者が占める割合が、一定以内であること
  • 転籍先が転籍元に対して、一定の金額を支払うこととしていること

割合の計算の仕方は、同じQ&AのQ53に示されています。

転籍制限期間

転籍の前の育成就労実施者のもとで、育成就労を行うことが求められる期間です。

  • 分野ごとに、分野別運用方針で、1年以上2年以下の範囲で定められます。
  • 1年とすることを目指しつつ、当分の間の扱いとして、分野ごとに定めるとされています。
  • 1年を超える期間が定められた分野でも、育成就労実施者の判断で、1年とすることができます。1年を超える場合は、待遇の向上の措置が必要です。
  • 一度転籍したあと、もう一度本人の意向で転籍する場合も、転籍制限期間の経過が必要です。

入管庁「育成就労制度Q&A」Q47・Q49・Q50。分野ごとの期間は、同庁の「分野別運用方針の主要な記載事項」に示されています。

転籍先の要件

入管庁のQ&A(Q52)によると、転籍先は、次を満たす必要があります。

  • 技能と日本語能力の試験の合格率や、法令の遵守状況などに照らして、優良な育成就労実施者と認められていること
  • 転籍元と同一の業務区分に従事させること
  • 受け入れの人数枠を超えていないこと

まだ決まっていないこと

項目入管庁のQ&Aの記載(2026年10月15日時点)
手続の具体的な内容(決まりました)法律上は、ご本人が転籍を希望する旨を申し出て、転籍先が育成就労計画を作成し、機構に認定を申請します。具体的な手続は、育成就労制度運用要領の第4章第3節に示されています(Q48)。2026年9月19日の時点では「決まり次第示す」とされていました。
初期費用の補填の額主務大臣が告示で定める金額に、在籍していた期間に応じた按分率をかけて計算します。告示は、今後制定する予定とされています(Q54)。

監理支援機関の役割

入管庁のQ&A(Q31)は、転籍を希望する申出があった際、監理支援機関が、関係機関との連絡調整などの役割を担うとしています。

監理支援機関の許可については、監理団体から監理支援機関へにまとめました。

申出の「前」に、できること

ここからは、制度の説明ではなく、当社の考えです。

辞めたい、移りたい、というご相談は、意思が固まってから来ることが多いはずです。

仕事、人間関係、健康、日本語。小さな変化を、ご本人の言葉で、毎月うかがっておく。申出の前にできることは、そこにあると考えています。

よくあるご質問

答えは、入管庁の「育成就労制度Q&A」によります。番号は2026年10月15日更新の版のものです。

転籍制限期間が1年を超える分野で、受け入れ企業の判断で1年に短くできますか。

できます。分野別運用方針で1年を超える転籍制限期間が定められた分野でも、育成就労実施者の判断でその期間を1年とすることができます。1年を超える期間とする場合は、分野別運用方針で定める待遇の向上措置を講じる必要があります(Q50)。

一度、本人の意向で転籍した方は、もう一度、本人の意向で転籍できますか。

できますが、再び転籍制限期間が経過している必要があります。転籍制限期間は、転籍前の育成就労実施者のもとで育成就労を行うことを求める期間で、2回目の転籍にも同じように当てはまります(Q49)。

ご本人が、民間の職業紹介会社を使って転籍先を探してもよいですか。

本人の意向による転籍の要件のひとつに、転籍に当たって民間の職業紹介事業者による職業紹介等を受けていないこと、があります(Q47)。転籍を希望する申出があったときは、監理支援機関が関係機関との連絡調整などの役割を担います(Q31)。

同じ業務区分の中なら、主たる技能を変えて転籍できますか。

変えることは可能です。ただし入管庁は、効率的・効果的な人材育成の観点から、転籍の前後で主たる技能を変えることは好ましくない、としています(Q51)。

転籍先が受け入れられる、本人の意向による転籍者の人数に上限はありますか。

あります。在籍する育成就労外国人の多くを転籍者が占める状態は制度の趣旨に照らして相当でないとして、転籍先で転籍者が占めることのできる割合が制限されています。大都市圏(指定区域の外)の転籍先が地方(指定区域内)から受け入れる場合には、別の割合の制限もあります。具体的な割合と数え方は、Q53でご確認ください。

この記事に出てくる用語

出典(一次情報)

2026年10月20日に、上のページと条文で確認しました。制度は変わることがあります。手続の前に、各官庁の最新の案内をご確認ください。この記事は、個別の事案についての助言ではありません。

書いた立場: 株式会社first penguin2018年から監理団体の一員として技能実習生の受け入れに携わり、2021年からは登録支援機関(登録番号 20登-005532)として特定技能の支援を行っています。「外国人材 定着コンパス」の運営会社です。