お役立ち監理団体・登録支援機関の方へ

外国人の定着を図るには。監理団体・登録支援機関が、毎月できること

外国人の定着を図るには、受け入れ企業の取り組みだけでは足りません。監理団体・監理支援機関と登録支援機関には、法令で定められた業務の中で、毎月できることがあります。この記事は、その中身を条文と官庁の資料から整理したものです。

制度の確認日 (出典は記事の最後にあります)

この記事の要点

  • 特定技能の義務的支援は10項目です。定期的な面談は3か月に1回以上、相談・苦情への対応は、外国人が十分に理解することができる言語で行います。
  • 面談の相手は、外国人ご本人と、その監督をする立場にある者の双方です。ご本人だけではありません。
  • 2027年4月1日に始まる育成就労では、相談に応じることその他の保護及び支援の体制並びに実施状況と、地域社会との共生に向けた取組状況が、優良な監理支援機関の評価項目に入ります。具体的な基準は、まだ公表されていません。
  • 受け入れ企業に伝えることは、厚生労働省の指針の「適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等」に7つ並んでいます。

機関がご本人に関われる場面は、法令で決まっている

外国人の定着を図るには、まず、自機関がご本人に関われる場面を確かめるところからです。その場面は、制度ごとに法令で決まっています。

下の表の3つが、その場面です。制度が違っても、やることの中心は同じで、聞くこと・助けること・記録することです。

制度ご本人に関われる場面根拠
特定技能1号義務的支援の10項目(事前ガイダンスから、定期的な面談まで)特定技能基準省令 第3条第1項第1号、入管庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
技能実習(団体監理型)技能実習生からの相談に適切に応じ、実習実施者と技能実習生への助言、指導その他の必要な措置を講ずること技能実習法施行規則 第52条第14号
育成就労(2027年4月1日から)育成就労外国人からの相談に応じることその他の保護及び支援。優良な監理支援機関の評価項目にも入る入管庁「育成就労制度Q&A」Q37

根拠: e-Gov 法令検索(技能実習法施行規則 第52条第14号)、入管庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」、同庁「育成就労制度Q&A」Q37

特定技能: 義務的支援のうち、定着に効く4つ

1号特定技能外国人支援計画に書く義務的支援は10項目です。このうち、日々の暮らしと仕事の続けやすさに直に効くのは、次の4つです。

義務的支援の項目何をするか
6. 日本語学習の機会の提供日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供など
7. 相談・苦情への対応職場や生活上の相談・苦情等について、外国人が十分に理解することができる言語で対応し、内容に応じた必要な助言、指導等を行う
8. 日本人との交流促進自治会等の地域住民との交流の場や、地域の行事の案内、参加の補助など
10. 定期的な面談・行政機関への通報支援責任者等が、外国人及びその上司等と3か月に1回以上面談し、労働基準法違反等があれば通報する

見落とされやすいのが、面談の相手です。条文は、外国人ご本人と、その監督をする立場にある者の双方との面談を求めています。

言語の決まりも押さえておきます。事前ガイダンス、入国後の情報提供、相談・苦情への対応、定期的な面談は、外国人が十分に理解することができる言語で行います。

根拠: 特定技能基準省令 第3条第1項第1号ヌ・第4条第3号、入管法施行規則 第19条の21第4号イ・ロ、入管庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」

育成就労: 2027年4月から、相談と共生の取り組みが評価される

2027年4月1日に始まる育成就労制度には、優良な監理支援機関の仕組みがあります。入管庁は、総合的に評価する事項として次の5つを挙げています。

優良な監理支援機関の評価事項
監理型育成就労の実施状況の監査その他の業務を行う体制及び実施状況
監理支援に係る監理型育成就労における技能及び日本語能力の修得に係る実績
出入国又は労働に関する法令への違反、監理型育成就労外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況
監理型育成就労外国人からの相談に応じることその他の監理型育成就労外国人に対する保護及び支援の体制並びに実施状況
監理型育成就労外国人と地域社会との共生に向けた取組状況

後ろの2つが、定着のための取り組みに当たります。優良と認められると、地方に所在する優良な育成就労実施者の受入れ人数枠が、基本人数枠の3倍になります。

ただし、優良と認められるための具体的な基準と手続は、まだ公表されていません。入管庁は「決まり次第追って運用要領の中でお示しする予定です」としています。

受け入れ企業の側にも、同じ考え方が入ります。優良な育成就労実施者の考慮要素にも、相談に応じることその他の保護及び支援の体制並びに実施状況と、地域社会との共生に向けた取組の状況があります。

受け入れ企業の要件には、過去1年以内に、育成就労実施者又は監理支援機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないことも入っています。

人の要件も変わります。育成就労では、育成就労責任者だけでなく、育成就労指導員と生活相談員にも、過去3年以内の養成講習の受講が義務づけられます。当分の間は、技能実習制度の養成講習で代替することが予定されています。

根拠: 入管庁「育成就労制度Q&A」Q37・Q38・Q40・Q44・Q45・Q46

受け入れ企業に伝えること(厚生労働省の指針)

機関が企業に何かをお願いするとき、よりどころになるのが厚生労働省の指針です。事業主が講ずべき必要な措置が定められています。

定着に関わるのは「適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等」の7つです。下の表は、その項目と中身を短くしたものです。

指針の項目中身
1. 適切な人事管理社内規程その他文書の多言語化等。評価・賃金決定・配置等の人事管理に関する運用の透明性・公正性の確保
2. 生活支援日本語教育、生活習慣・文化・風習・雇用慣行の理解の支援。地域の行事や活動に参加する機会。行政機関・医療機関・金融機関等の情報提供や同行
3. 苦情・相談体制の整備窓口の設置等。必要に応じ、地方公共団体の一元的な窓口等も教示する
4. 教育訓練の実施等能力を発揮できるようにする教育訓練。母国語での導入研修の実施等
5. 福利厚生施設適切な宿泊の施設。給食、医療、教養、文化、体育、レクリエーション等の施設の利用の機会
6. 帰国及び在留資格の変更等の援助変更・更新の手続に当たっての勤務時間の配慮。一時帰国を希望する場合の休暇の取得への配慮
7. 共に就労する上で必要な配慮日本人労働者と外国人労働者が、文化、慣習等の多様性を理解しつつ共に就労できるようにする

この7つの多くは「努めること」と書かれた努力義務です。相手を責める材料ではなく、話を始める見出しとして使うのが実務的です。

もう1つ、外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、人事課長等を雇用労務責任者として選任することが、指針に書かれています。

根拠: 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年厚生労働省告示第276号)第四の五・第六

記録は、どこまで残すか

聞き取りも面談も、残っていなければ、確かめようがありません。登録支援機関には、文書の備置きの義務があります。

支援業務の実施状況に係る文書を作成し、事務所に、特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置きます。

2027年4月1日からは、さらに、支援の実績と、支援業務に要する費用の額及びその内訳を、インターネットで公表することが求められます。

定期届出も記録から作ります。対象期間は4月1日から翌年3月31日まで、提出期間は翌年度の4月1日から5月31日までです。くわしくは 特定技能の定期届出は年1回に。対象期間・提出期間と、登録支援機関が用意する書類 をご覧ください。

根拠: 入管法施行規則 第19条の21第5号、2027年4月1日施行の同規則 第19条の21第12号(令和7年法務省令第45号)、同規則 第19条の18第3項・第19条の24第1項

毎月できること

ここまでは、法令と官庁の資料に書かれていることです。ここから先は、当社が登録支援機関として続けている進め方です。

ここから先は、当社の考えです

効果を数字でお示しできるものではありません。官庁が定めた義務の範囲を超えない形で、毎月の手順に落としたものです。

  • 面談と面談のあいだに、短い聞き取りを1回はさみます。3か月に1回の面談だけでは、そのあいだの変化が見えません。
  • 聞くことは5つに絞ります。仕事、住まい、お金、体調、人間関係です。毎月同じ問いにすると、同じ人の答えの変わり方が見えます。
  • ご本人には、十分に理解することができる言語で聞きます。読む側は日本語で読めるようにしておくと、企業への連絡が早くなります。
  • 気になる答えは、その日のうちに、だれが・いつ・何をしたかまで書いて残します。後からまとめて書くと、日付が曖昧になります。
  • 受け入れ企業に伝えるときは、指針の7つの項目のどれに当たるかを添えます。お願いの根拠がはっきりします。
  • 年に1回、備置きの文書と定期届出の材料がそろっているかを見直します。2回目の定期届出の提出期間は、2027年4月1日から5月31日までです。

よくあるご質問

外国人の定着を図るには、まず何から始めればよいですか

自機関に義務づけられている場面を確かめることからです。特定技能なら義務的支援の10項目、団体監理型の技能実習なら技能実習法施行規則 第52条第14号の相談対応です。新しい取り組みを足す前に、いまの面談と相談の記録の残し方を整えるほうが、先に効きます。

定期的な面談は、3か月に1回で足りますか

法令と入管庁の案内が求めているのは3か月に1回以上です。これを超える頻度にするかどうかは、各機関の判断になります。面談の相手は、外国人ご本人と、その監督をする立場にある者の双方です(特定技能基準省令 第3条第1項第1号ヌ)。

面談や聞き取りは、母語で行わなければなりませんか

条文が求めているのは「外国人が十分に理解することができる言語」です。母語と書かれているわけではありません。ただし、どの言語なら十分に理解できるかを確かめる責任は、機関の側にあります(特定技能基準省令 第4条第3号、入管法施行規則 第19条の21第4号イ・ロ)。

定着の取り組みは、許可や登録の審査で見られますか

育成就労では、優良な監理支援機関の評価事項に、相談に応じることその他の保護及び支援の体制並びに実施状況と、地域社会との共生に向けた取組状況が入っています。ただし、具体的な基準と手続は、まだ公表されていません(入管庁「育成就労制度Q&A」Q37・Q38)。

受け入れ企業には、どこまで求めてよいですか

厚生労働省の指針が、事業主が講ずべき必要な措置を定めています。多くは「努めること」と書かれた努力義務です。一方で、外国人労働者を常時10人以上雇用するときの雇用労務責任者の選任のように、指針が「選任すること」と書いているものもあります。

書いた立場: 株式会社first penguin2018年から監理団体の一員として技能実習生の受け入れに携わり、2020年からは登録支援機関(登録番号 20登-005532)として特定技能の支援を行っています。「外国人材 定着コンパス」の運営会社です。